【読書感想ネタバレ有】青野くんに触りたいから死にたい…椎名うみ
こんにちは、サチヲです。
今回はJolyneさんのTwitterで素晴らしい漫画を知ることが出来ました。
それが『青野くんに触れたいから死にたい』です。
Jolyneさん、改めて機会を作っていただきありがとうございます。
ここからはネタバレとなりますので嫌な方はこれ以上読み進めないでくださいませ。
よろしいでしょうか。
私は直ぐに影響を受けるタイプなので、
(あー、こーゆーふーに人やモノや状況を愛せる人になろう!)と意気揚々と池袋の漫画喫茶を出ましたが…悲しいかな、おっさんがキラキラした目で街を練り歩いたところで変な目で見られるのがオチでした。。
いやいや!それくらい主人公である高校生の『優里ちゃん』は真っ直ぐで純粋な『青野くんが好き』という正義感にも似た強い想いで突き進み続けるんですよ。
し続けるんですよ!?
しかも最初は経験の無さが故の未熟で危なげな感じでしたが、周りとのコミュニケーションを通していくことによる成長がまたいい。
成長するにつれ表現方法が丸くなりますが、その代わり青野くんに対しての想いがどんどん磨かれていき、どっしり重たい安定感のある優里ちゃんになるんです。
ただ、そんな恋愛話が早い段階で骨太なホラーが入ることによりほっこり感より恐怖感が勝つという展開になります。
いやー…
「40分前に多分あなたの彼氏がきた」
という美桜ちゃんのセリフ(合ってないかも…)には痺れました。
その一連の流れが素晴らしくて、漫画喫茶で初めて恐怖の声が出しましたよ。
絵柄についても普段の場面では淡白なタッチで良い感じに描いているのですが、ホラー場面になると急に細かく書き込むんですよ。
その温度差というかギャップがまた恐怖を煽ります。
あ、大事なことを忘れていました。
そもそも青野くん。早い段階で『人』を辞めてました。
1巻最初の見開きページで、優里ちゃんの机の上に自己主張が強そうな爽やかイケメンが立ってるんですよ。
それを見て…(あわわー、この人をを好きになっていくんだぁ)と思ったと同時に不安にもなったんです。
なんせ、授業中のような感じなのに机の上に立ってるのに周りのみんなが無反応なのを見たらヤベェ奴にしか見えないですよね。
そしてお付き合い2週間で交通事故で死んでしまいます。。
展開早ッ。
あ。さっきの『霊』だったんですね。
その後、優里ちゃんは『霊』となった青野くんとの時間を改めて紡いでくことになります。
ちなみに、物語は友情についても良い感じに描かれているんです。
特に青野くんと藤本くん関係の変化が好きです。
元々親友としての関係がありますが、その先の関係をじっくり時間をかけて描いています。
後半、お互いが認め合いぶつかり合い、それでも心に無いこと言っては繰り返しでした。
しかし、藤本くんの
「おれは優里ちゃんが好きだ でも、おまえから取ろうとは思わない」
いやこんなこと友達でもなかなか言えないですし、通用しますかね。
でもね。やはり態度ではなく言葉で分かりやすく伝えることが大切なんですね。
まぁ分かっていますが中々ね。。
実際にはそう簡単にはいかないですけど、友達に対してこーゆー感じに関係を築けたら良いですよね。
ここで、私の願いというか妄想となりますが…
もし映画化したら、青野くんにピアノを教えてもらいながら優里ちゃんの歌が上手くなっていくエピソードは是非ともお願いしたいですなー。
『青野くんを殺したんだわ…』から『はい 彼氏が練習に付き合ってくれました』までの最高の繋がりが良い。
『はい』の後には『!』マークも付かない。
ただ、空白の後にくる『彼氏が練習に付き合ってくれました』
ビックリマークを付けない、普段通り、日常で当たり前のように毎日発しているかのような自然さと力強さ。
声を張らなくても、声量でははかれない想いの強さ。
心と身体で喜び傷つけた後のこうと腹に据え決めた人の表情も最高ですよね。
このようなエピソードと始めにしっかり描いてるからこそ、後半の説得力が増すんですね。
最後に考察的なことを一言。
結構重要な事だと思うのですが…青野くんの交通事故の決定的瞬間を描いてないんですよね。
もしかしたら化物と称される黒青野くんと関係があったり無かったり。
例えば青野くんが自己犠牲で助けたとか、黒青野くんとの利害が一致してるとか…それが優里ちゃんの心と身体だったり。。
その他にも、黒青野くんは化物やら、悪霊と言われていあますが、実は黒青野くんから見た事情(世界)から見たらめちゃくちゃ純粋な正義があったり、悪霊とはむしろ人間の方だったり…
と、いうように色々な想いを馳せることの出来る最高の漫画を紹介してくれました!
7巻が出たら、また池袋の漫画喫茶へ行ってきます。
いやはや、最高の時間でした。
ではまた。